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SSNo.037 波乱の二人三脚っ!
2008-10-14
どうもMODOKIです。運動会の季節ですね。(もう過ぎ去りましたよ?)
と言う事で運動会ネタですよ、このブログのタイトルが「季節には季節ものを」っていうのですから、それには従わないとダメでしょう。(だからもう過ぎたって。)
それはさておき。
事実運動会がこの前行われたのですが、
出場した種目は100M。
短距離型の自分にはちょうど良いいやと思って参加した末、無難にこなしたつもりで4位。友達にぶっ飛ばされました。いってぇorz
ともあれ長編きつかったです。
しかも書いてみれば「え?続くの?」的な。あーあ、鈍キョンなにやってんだよー。って感じですね。
PCの使える時間が激減したので、最近は学校で紙媒体に頼ってます。
そんなことしたら、ヲタ友達が集まって、コレはこうしろだの阿鼻叫喚。やってられません。
それはさておき!
「波乱の二人三脚っ!」をどうぞ。
「解りやすっ!」と言うツッコミはナシで。
風もわずかながら涼しくはなるが、陽の暑さは変わらずに10月に入ろうとしている。
決戦の日―――ハチマキを締め直し、『足紐』を結んで入場門へ
「さっ、行くわよキョン!」
そうとも、今回俺とハルヒは二人一緒だ。
顔の傷?痣?どうしても知りたいのであれば過去を回想する事になる。
アレは二週間前の事だった。
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「それでは、運動会の参加競技に付いての打ち合わせをします。」
男女問わず、我先にと立候補をあげてゆく上で、
やりたい競技が無かった俺は、余り物には福があるだろうと言う消極的かつ、受動的かつ、甘い考えでこの一悶着が収束するまで傍観をしていた。
ハルヒも騒ぎに繰り出そうとは思わないのか、後ろの席で座っている。
顔を見ている当たり、すごくつまらなそうだ。
ま、それも当然かと顔を黒板へ向けたときにはだいたいの配置が決定していた。
そこで、岡部がとりまとめる。
「えー、決まっていない種目は『障害物二人三脚』。まだ立候補していないものは?」
「キョンです。」
「涼宮さんです。」
「ん、じゃあお前等で良いな。」
ちょっと待て、男女別々ではないのか?
すかさず、運動会実行委員の荒川が説明をする。
「男子も女子も競技場関係ないことになっているよ。障害物二人三脚の採点法は特殊で、タイム順に上の方から得点を加算していく方式をとる事になっているから。そして、男女で出たペアは去年もいる。そしてそのペアは学校記録をうち立てたんだ。もう卒業したけどね。」
そうか、俺は良いんだが、ハルヒは?
「アンタが、良いなら別に良いけど狙うは一位よ。そのためにはビシビシ気合い入れていくからねっ!」
と、耳打ちした。
俺は人差し指と親指で作った丸を荒川に向けてOKの意を表明した。
「では、決定します。それでは次に―――」
一つ忘れていた。
俺は、あぁ練習しなきゃなーと漠然と考えていた。
ハルヒが後ろでいそいそとルーズリーフに何か書いている事なんて、全く気にとめてもいなかった。
放課後に思い知らされる事になる。
こういう時のハルヒを見ていないとどうなるのか、と。
=====
毎度のごとく、それは突然やってきた。
「体操服、持った?」
「え?ああ、もっ―――たぁぁぁぁぁあああああああ!?」
簡潔に描写しよう。俺はネクタイを引っ張られ、連行されている。
もう少し、丁寧に扱ってもらいたい。幼稚園児に好き放題弄ばれるオモチャの願望ようだが事実である。
部室に押し込められた俺をよそに、ハルヒはドアに鍵を掛けた。
ホワイトボードの前に立ち、ビッと音がしそうな勢いで、というか音がする勢いで、俺を指さした。
「それではこれより、作戦会議を開始しますっ!」
声高らかに宣言した。
「はい、議長。」
「はい、キョン。」
「何故この部屋を密室にする必要が有るのでしょうか?」
「それは、とても重要な件で外部に漏れる事を抑制するためです。」
お前のその通る声じゃ、どうあってもツーカーなのではないだろうか?
「それもそうね、じゃあこうしましょう。」
そう言って、ハルヒは顔を寄せてきた。
要するにひそひそ話でって事らしいが、急な事態に俺の頭はパンクしかけた。
なぜなら、その勢いはキスをするかのような勢いで、遅れてやってくるシャンプーの香りが、確実に俺の『何か』を揺さぶった。
まぁ、その『何か』は置いておいたとして、だ。
「これが、今後の見通しなんだけど。」
「ふむ。」
ルーズリーフに書かれていた内容は以下の通りだ。
一、二人の歩幅、歩数計測。
二、平均値の歩幅による、トレーニング。
三、障害物の確認、攻略法の検証。
四、各障害の集中攻略。
五、全体を通した練習。
他には、生活リズムの統一を図り、運動会までは両方の動きを意識した生活を考えます。
「ほう、良いんじゃないか?お前にしてはしっかりと見通しが立っているし、このメニューで頑張れば、きっと一位も狙えるな。」
いつになく反論の少ない俺に驚いたのか、ハルヒは少し間をおいて答えた。
「と…当然じゃない!このあたしが組んだメニューよ。というわけで…」
ハルヒは俺のシャツに手をかけ、ボタンをはずし始めた。
「は、ハルヒ!?」
「何驚いてんの?さっさと脱ぐっ!」
「アホか?何考えている!?常識では普通は―――」
バサッ
俺の視界は白くなる。布があたっているのだ。鼻孔をくすぐる甘いにおいがする。生暖かく、少し湿っているそれを取り払うと…
「だぁぁぁぁああああああ!」
目に飛び込んできたのは下着、ブラ、ハルヒの素肌。
すぐ反対側を向く。落ち着け、やましい事を考えるな。
「何やってんの?早く脱ぎなさいよ。(練習を)やるんでしょ?」
わかってる、俺は今気を落ち着かせているんだ。解るか?
「やるならやるっ!しないならしないっ!さっさと決めてって言ってるの。」
「わかった、やる、やります。だからちょっと待ってくれ。」
俺はせかせかと、着替え始めた。こうなりゃ自棄だ。別にパンツ見られたってどうって事無いはずだ…多分。落ち着いたはずだから。
そうだ、素数を数えよう。2,3,5,7,11,13,17,19,23,29…
「何、ぶつぶつ言ってんの?こっちは準備OKよ。」
「ちょっと、待った―――ん、OK。」
「じゃ、行くか。」
「うん。」
体操服に着替えて、いざ出陣と勇んでドアを開けた瞬間、三人の人間がなだれ込んできた。
「「「「「………」」」」」
五人分の沈黙が重苦しい。
沈黙を破ったのは古泉だった。
「あ、いやぁ。こんなにまでお二人の中が進んでるとは思わず、失礼とは思いながらも盗み聞きさせていただきました。えっと…」
古泉は俺とハルヒを交互に見て、
「以前からお二人は親しかったのですね。すいません、邪魔しちゃって。無粋でしたね。長門さん、朝比奈さん、ここは失礼しましょう。ではお二人ともごゆっくり。」
古泉は二人を連れて、どこかへ行ってしまった。
「何だったんだ?一体」
「さあ。」
俺たちはそろって首を傾げた。
=========================
早速練習を開始した俺たちは、まずは手順通り、50mでの歩数を確認した。
結果は以下の通りだ。
俺:30歩
ハルヒ:33歩
「似寄ってるわね。」
「そうだな。平均値は31.5歩。割り切れないな。」
「まぁ、32歩を目標で。」
「そんなところか。」
程なく、三十二歩を目標とした走り込みが行われた。
適当に何本か走った後、足紐を付けた実践的な練習が開始された。
「いい?アンタは右足よ。右足から出しなさいよ。」
「了解。」
「「せーの!」」
ドターッ!
一歩目で盛大に転んだ、ハルヒが右足を出したのだ。よって俺等は真後ろに倒れ込み、とっさにハルヒと地面の衝突を避けるために腕を差し出すと、そこにハルヒの頭が落ちてきた。俺は頭から倒れ込んだ。
鈍痛が骨に響くがそんな事言ってられない。ハルヒは無事だろうか?
「キョン、大丈夫?」
即座に身を翻して、座り込んだハルヒだが、俺の足下でしか座り込めないので、とっさに馬乗りになって俺を見下ろす。俺の役を取られた気がするが足紐の付いている俺の右足は、曲げた状態となりハルヒの腿と接している。体操服での感覚が…言っちゃ何だがナマである。俺には…なんというか刺激が強い。
「ああ、大丈夫だ。」
体を起こす。気を取り直して、もう一度。
「「せーの!」」
綺麗にスタートが決まった。
そのままのペースで、50mを走りきった。
とりあえず、第一ステップは攻略。
と、思ったところに声がかかる。
「8.5783620984秒」
そこにいたのは長門だった。
「絶対負けない。」
そう言って長門はきびすを返すと。校舎の方へ戻っていった。実際長門が俺たちのタイムを言っていると理解するのに、5秒を要した。
というか長門さん、今のは宣戦布告にしか聞こえなくて俺の隣の人物を刺激するのは誠によろしくない事なのだが…
悲痛を込めた俺の思いは長門には届かないようだった。
「宣戦布告とは良い度胸ね。キョン!もっとタイムあげてから。次のステップよ!」
こっちも影響されてるし。
んで、張り切ったは良いが次の一歩を踏み出そうとした瞬間、俺とつないである足を出してこける。俺はかばうためにまた、ハルヒの下敷きになってやった。
起きあがったハルヒに
「あんたってMなの?」
と聞かれたが、別にそうじゃなくて
「お前が大切だからだ。」
『団長だし』と言う意味を込めて言っているが、ハルヒは顔を真っ赤にして爆発させて、フリーズした。
さらに続けて、
「お前を傷つけるのがとてつもなく怖い。」
『後で』と心の中に付け足しておく。気が利かないだの、痛いだのとワガママを言われるよりはマシなはずである。
「おい、ハルヒ聞いてるか?」
ハルヒは半ばポーッと俺を見ていた。
鼻から一筋の線が延びる。鼻血だ。しばらく動けそうに無いようだった。
結局、ハルヒの意識が戻ってからは延々と走り続け、帰る頃にはもうすっかり日が落ちていた。そんな日に限ってハルヒは顔をほころばせていた。
「やったじゃない。6秒台よ。6秒台。しかも試しにって100m走っても完璧な走りだったし、これは優勝、いや新記録も間違いないわ!」
「ま、良い走りだったというのは同意するが、新記録は難しいんじゃないか?」
するとハルヒは怒った顔を俺に向けてきた。
「あんたねぇ、最初っから逃げ腰でどうすんのよ。こう言うのはね、最初の志が大切なの。バカのあんたでも解るでしょ?」
「ま、それもそうだな。」
肩を並べて歩いていると、そこら中からちくちくと視線が痛い。主にハルヒを知らない平凡な日常を送っている人間達からだが、やはりそれほどにもハルヒが美人だと言う事を思い知らされる。
こういう事してると、彼氏彼女みたいだな。
不意に、もう一人の俺が耳元で囁いたような気がして、気恥ずかしくなってハルヒの方を見た。
すると、ハルヒはチラチラと足下に視線を送っている。
ハルヒの目線を追っていくと、俺とハルヒの足が全く同じ歩調で二人三脚している。
顔を上げてハルヒを見やれば、俺が視線を送っていた先に気が付いたらしく、顔を紅く染めて言った。
「別に意識していないから。」
俺たちはそのままの歩調で歩き続ける。
ハルヒの今の発言は「私は意識してますよー。」と言っているようなもので、だからといってそれを追求するほど、ひねくれた性格ではない。
時間が時間なので、家まで送っていく事となった。
電話口で、
「あんたも男の子なんだから」
とお袋が言っていた。全く、やれやれである。
今回は自転車の二人乗りはお断りさせてもらった。
「なんでよ。夏にしてくれたじゃない。」
と、ハルヒが抗議するものの、だな。
夏とは状況が違うんでね。
最近は何かと物騒で、警官の方々も目を光らせているのさ。
もしも二人乗りで捕まったら、厳重注意で成績にも何かと影響するのだ。
勉学がおろそかな分はそう言った日々の行動で、ポイントを稼がなきゃならんのだ。
厳重注意を受けた内容は学校にも送られるしで、エライ制度になってくれたわけだ。
「むぅー。」
はい、ふくれるのは禁止。ある種の凶器だからなそれは。
「どういう意味よ。」
さぁて、どうだか。
=========================
結局、ハルヒを家まで送り届けて帰りつくのは7時を回ったところだ。
夕食、風呂、その他諸々の事をしていれば10時になる。
そろそろ寝ようとベッドに入ったときに携帯が鳴り出した。
『着信:涼宮ハルヒ』
「もしもし?」
『あ、キョン?』
毎度のごとく、コイツは名乗る事を覚えてくれない。
「ハルヒか?」
『当然じゃない。あたし以外に誰がいるってのよ。』
「まぁ、それもそうか。で、何のようだ。」
まさか今から練習を再開するとか言わないよな。
『別に。ほら、言ったじゃない。二人三脚を成功させるには、二人の生活のリズムをそろえる事が大切だって。』
「それで、俺に何をしろと?」
『今から寝なさい。』
「は?」
『あたしも今から寝るから、あんたも寝なさいって言ってんの。明日のモーニングコールも、あたしがするから。5コール待たせたら死刑。良いわね!』
―――プッ
一方的に電話を切られた。何だって言うんだ一体。
まぁいいや。ハルヒのお墨付きももらった事だし。
俺はとっとと眠るようにした。
疲れもあって、俺は泥のように眠る事になった。
そんな日々が二週間続き、俺の体は前の日に疲れていても快調に向かっていったのは不思議な事だ。
さらには何となくだが、ハルヒとあれこれ話す事が多くなり、並んで歩く事が多くなり、挙げ句、意識しなくても歩幅や歩調が自然と合う事になってきた。
昼休みに偶然会った古泉から、
「最近はずいぶんと中がよろしいようで、機関に属する一戦闘員としては感謝を捧げたいぐらいです。何せこの一週間。涼宮さんの精神はとてつもない安定を見せています。おかげで僕も、運動会に向けた練習に励む事ができて何よりです。」
と言う言葉をもらった。別に感謝など良いし、第一気持ち悪い。
それと、何気ない感じで疑問を投げかけてみる。
「お前はどの競技に参加するんだ?」
そう聞くと、古泉は肩をすくませて
「実は奇遇な事に、僕と長門さんで『障害物二人三脚』に参加することになりました。」
これで、謎が解けた。あの宣戦布告は本物だった。もちろん長門がジョークなど言うわけが無いのだが、それでもいきなりの宣戦布告には驚いたものだ。
「まあ、お互いに頑張りましょう。」
「そうだな。でも、お前と長門は違う組だろ?なんで一緒に競技に?」
「ああ、それはですね。僕と長門さんはクラスの競技であまりが出た場合の枠に入ったからなんです。長門さんの計らいでしたから安心しましたけどね。」
「では、競技の事は知っていた?」
「はい。長門さんの強い要望だったので僕も応じない訳にはいきませんでした。同じ白組なので問題はありません。」
あの長門が能動的に古泉にお願いするシーンなんて想像も付かないがまあよしとして。
「そうか、じゃあまた。」
「はい、それでは。」
そう言って古泉と別れを告げた。
=========================
そしてついに、決戦の日がやってきた。
俺とハルヒは昨日まで必至に練習し、一連の動きは完成させた。
その結果、俺の体に傷や痣が多いのはこけるたびにハルヒの下敷きになっていたからである。
まぁ、目立った外傷でもなく、動くには申し分ないわけだが。
軽い準備運動をしている俺たちに長門と古泉のペアがやってきた。
長門が冷たく燃えるメタンハイドレードのような視線を投げかけてきた。
「…絶対に負けない。」
対して、ハルヒがいつにも増した高慢さで、発言する。
「あたし達が勝つのよ。校内記録をあたしの記録で塗り替えてやるんだから。」
と、そこまで言い終わったときには入場の合図が出た。
どこか聞き覚えのある曲調に俺は首を傾げた。
「これ、『God knows』じゃない?」
ああ、多分それだ。声が違うから、おそらくこれはENOZの原曲だな。
と、思いつつ。去年の文化祭を思い出すと同時に、今年の学校祭にも力が入るであろう事を確信していた。何たって、ハルヒなのだ。
しかし、現在集中すべきは二人三脚に他ならないので、そこら辺の思考は置いておく。
入場後、選手紹介のアナウンスが入る。エコーで間延びしているように聞こえる。
『第一レーン。紅組ぃ、ハルキョンペアぁー!』
「ぶっ!」俺は吹き出した。会場に『ハルキョン?』とざわめきが走る。
俺は放送部員に殺意を覚えつつも、その場は押さえて置いた。
『対してぇ第二レーン。白組ぃ、古長ペアぁー!』
古泉の方を見ると、肩をすくめていた。
その後の選手紹介も続き、さらにアナウンスが入る。
『なおぉ、この競技には解説を示す★マークが入っているようにぃ、解説が付きます。』
『紅組からはぁ、体育科の岡部先生ぃ。』
貴様かッ!!
この殺意をどうはらしてやるかと、思案していた。
『白組からはぁ、数学科の吉崎先生です。』
『それでは、位置についてぇ』
身構える。ハルヒが囁いた。
「中足からよ。」
『よーい、』
「解ってる。」
『スタートぉ!』
俺とハルヒは駆けだした、まずは一気にトップに躍り出る作戦。前に障害があるというのは、何かしら不自由が出るからだ。
『最初は50m走です。ここで、ハルキョンペアがトップに駆け上がりましたぁ!続くは古長ペアぁ。』
そんなアナウンスの間にもう俺たちは50mを走り終えようとしていた。長門達とは、まだ一秒ぐらい差はあるはずだ。
『おっと、スタート早々倒れたペアがあります。アレは…谷口、国木田ペアです。何やってんでしょうかねぇ?』
岡部の解説が入る。
『背丈があっているのに、転ぶのはただ単に練習不足ですね。』
『あーっと、そうこうしている間にもハルキョンペアは次のエリアに到達しました。』
ここまでの完璧な流れに感動しつつも、俺たちは互いに縄を取り、二重跳びを始めた。
『第二ステージは縄跳びゾーンです。各ペアに審判がつき、とんだ回数ではなく、縄が回転した回数で、カウントされます。回数は20回。よってハルキョンペアは10回の跳躍で終了させます。―――この辺はどうでしょう吉崎先生。』
『情報を獲得しての作戦、完成させるための努力。敵ながらあっぱれです。』
「「一!二!三!四!五!六!七!八!九!十!」」
「合格!」
早々と審判の合格をもらい、縄を置く、長門達は無難に一回ずつ飛んでいる。
昼休みに頑張った努力の成果だ。誰にも文句は言わせない。
そのまま次のエリアへ俺たちは進んでいった。
『おーっとぉ!?白組、朝比奈・鶴屋ペアダウンかぁ?体育科の岡部先生どうなんでしょう?』
『ただ単に運動不足と言えますな。』
「ふみゅーん、鶴屋さん。もう走れないれすぅ。」
「みくる!こう言うときこそ頑張るのさっ!」
『なるほど。と、こうしている間にもハルキョンペアは第三エリア、ハードルへと進んでいます。この障害の攻略ポイントはどうでしょう吉崎先生。』
『要はテンポです。どのようにテンポを維持して飛べるか。そして最後のハードルをどのように越えるかですね。』
『ハードルは全部で11個、これらは、飛ぶもくぐるも自由です。しかし、そのうちの最後の一つだけが、飛ぶには高く、くぐるには低いと言う中途半端な高さにセットしてあります。』
ここにも俺たちの難点は無かった。完璧なリズムで、ハードルを飛ぶ。跳躍も着地も一緒。ある種の一体感だった。
最後のハードルは少し遠めに置かれ、その高さが俺たちを拒んでいる。が、俺たちはそれを気にもとめなかった。
俺とハルヒの状態は前に飛び出してゆく。世界が一回だけ、回転した。
『あーっと、転がった。前転です!勢いを殺さずに、なおかつ省カロリー、他のペアとは一線を画しています。やはりこのペア、何かが違います!岡部先生、どうです?』
『陸上にデュエットの競技があったら、確実に金メダルですね。』
『吉崎先生は?』
『緻密な計算と、完璧な作戦には兜を脱ぐ思いです。』
「キョン、大丈夫?」
「全然問題ない。」
「最後よ。」
「わかってる。」
くじ引きの箱へと、ハルヒが手を伸ばした。
『古長ペアが、ハードルへと突入しました。対して一位のハルキョンペアは最終エリア、クイズ式借り物です。クイズの答えとなるものを借りてくる最後の障害。頭の回転と走りの速さが問われます。ここでは問題作成者の荒川君にも解説に加わってもらいましょう。』
『はい、問題を作成しました荒川です。各種色々なジャンルの問題から、ピンからキリまで色々なレベルの問題を作りました。くじ運の強さも問われると思います。さらには借りたものを持ってきた事を証明するための条件も各クイズに追加させてもらいました。』
『ハルキョンペアはクイズを引いたようです。では、読み上げてもらいます。』
俺とハルヒはそろって首を傾げながらも読み上げた。
「変人に足はなく、心を持っている。
ただし、誰のものであるかまで告げる事。」
『これは…どうなんですか?荒川君。』
『最高レベルの問題ですね。ある種でわかりやすい事はわかりやすいですが、見つけるのも、持ってくるのも難しいところです。特に、あの二人ではね。』
「キョン?解った?」
ハルヒがわからないと言った表情でこちらに聞いてくる。
意味ありげなコメントの前に俺はもう答えが解ってしまっていたが、どうすればいいかが解らなかった。呼びかけても絶対出てきてくれる事はないだろう。
考えている間にも、長門と古泉のペアは迫ってきていて、もう後がない。
アナウンスがせかす。ハルヒもせかす
かくなる上は。
「ハルヒ。」
「何?答えが解ったの?」
そのとき俺はどんな顔をしていたのだろう?
「単刀直入に言う。好きだ。付き合ってくれ。」
「はぁ?……い、良いけど。なんでこんなところで?」
「良いんだな?せっぱ詰まっているからNOと言う返事は一時間後に聞いてやる。こい!中足からだぞ、良いな?」
ハルヒはいつか見たくポーッとしていたが俺の呼びかけに応じて、我に返った。
「う、うん。」
そして俺とハルヒはゴールテープを切る。
『ゴォーーーールッ!』
『記録は一分四十秒、学校新記録です。さてクイズの答えと、借りてきたもの、そして所有者をあかしてください。一つでも欠ければ失格です。』
「変人の『変』の下半分は一文字で『夂(チ)』と読んで、足を意味するんだ。それが無く、心を持たせると『変』は『恋』に変わる。変人は恋人になるわけだ。」
『なるほど。どうですか、荒川君?』
『せ、正解です。』
『おめでとうございます。では、借りたものは?見ていると誰も連れてきていないようですが?』
「ハルヒだ。」
『では、誰の恋人ですか?』
「俺の恋人だ。少なくとも一時間はな。」
会場内がにわかに色めきだった。
「やっぱりー。」とか「遅すぎるんじゃない?」と言う声が、校内中に広がる。
結局、一位は俺たちで夢の学校新記録もうち立てた俺たちは拍手喝采の中退場した。
退場してから、足紐をほどき、
「やったな。」
と、ハルヒに笑いかけた。
ハルヒはうつむいていて、俺は感動の涙を流しているのだと理解しハルヒの肩に手を置いた。
すると、本格的に震え始め…
「こんの、バカキョーーーン!!」
パチーン。
強烈な勢いで頬を叩かれた。再びハルヒに向き直ったときにはハルヒは踵を返して、どこかへ走っていった。ハルヒが経っていたところの近くにわずかな水滴が落ちていた理由をそのときの俺は知る術が無かった。
=終=
=あとがき=
この終わり方を見てみると、ずいぶんと、続くようですね。続編書かなきゃ。もう、何やッてんの俺。
運動会のシーズンは過ぎ去ったのに、こんなところで何やッてんのと聞かれれば、ずっと怠けてましたごめんなさいorz
運動会のシーズンは終わりましたが、考えてみてください。昨日は体育の日です。ちゃんとつじつまは合っているのです。(へりくつをごめんなさいorz)
ちなみに余談ですが、MODOKIは原作の設定をなるべく忠実に再現するようにつとめている思いであります。ですから、運動会実行委員会の荒川君もちゃんと設定上はいるのです。えーと、できれば『涼宮ハルヒの公式』の32ページをご覧ください。クラスの廊下側一番前に荒川君がいるはずです。
あと、組み分けの設定は『涼宮ハルヒの憂鬱』漫画版を参照しています。
てな感じで、続編頑張って書き上げますから、待っててくださいね。


